「英国王のスピーチ」 [映画]
英国の王子が吃音で演説が苦手なのですが演説をしないといけないときもあります。
妻が探し出してきた言語障害の専門家ライオネルのもとを訪れます。
吃音は心理的な要因から来ているとライオネルは言い、条件として対等な関係で話をすることを要求します。
ライオネルは医師ではなく研修も受けていないのですが経験値から今まで吃音を治した実力がありました。
しばらく治療を続けますが医師ではないとわかったりして中断します。
他の医師や専門家を訪ねますがこれといった治療法もみつからず再度彼に頼ります。
後年、諸事情で次男なのに王となります。
いよいよ王を継承してスピーチが待っています。
ライオネルが事前に周到な段取りをし、傍で力づけます。
演説が始まる直前は観ている方もドキドキ、思わず応援したくなります。
国民の暖かい拍手もよかったです。
信頼関係があってこその成果なんだろうと思いました。
この映画も実話をもとに製作されているそうで興味深かったです。
家族がテーマ?の映画 2本 [映画]
題名からして亡くなることかな?と思ってましたが「長いお別れ」」とは「認知症」のことを指しているのだそうです。
認知症の壮絶な介護の場面はありません。
キーワードは「帰る」「家族」だと感じました。
父親はしきりに「帰る」事を意識して「帰る」と言います。
どこに帰りたいのか?
家族はその言葉の意図がわからずあちこち連れて行くのですが・・・。
映画に登場する娘たちは「実家に帰る」」と言ってます。
私は今まで「実家に帰る」と表現したことはなかったように思います。
「実家に行く」ですね。
ただアメリカに住んでいたら「日本に帰る。日本の実家に帰る」という言い方はするかと思います。
家族で穏やかに父親を見送る。
理想的です。
原作は未読です。実話を元にした作品だそうです。映画はほんわかとしています。
いろんな言動が伏線として再度登場します。
中野量太さんは「湯を沸かすほどの熱い愛」の監督。
レビューはあんまりよくないのですがこの映画、私は好きです。
松原智恵子さんって若い頃はそんなにお上手じゃないと思っていたのですが長年コンスタントに映画やドラマ出演されていてしかも「天然的」な感じが好感を持つようになりました。
竹内結子さんが出演されていて若くして亡くなってるだけになんだか見ていて辛かったです。
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クリント・イーストウッド 監督主演。
クリント・イーストウッドの映画って「ダーティーハリー」を大昔に見てかっこいいなぁ、と思ったのを覚えています。
何年前なんでしょうか?
撮影時は88才。私としてはギャップが大きすぎて年取ったなぁ、というイメージ。
でもかくしゃくとしていますね。
デイリリーの栽培にのめり込むあまり、家族をないがしろにしてしまい娘からは愛想をつかされてしまいます。
栽培農園も差し押さえになりトラックで妻や娘たちの家に行きますが歓迎されるわけもありません。
孫だけは優しく対応してくれてその婚約パーティーで参加者からあるものを運送する仕事を斡旋されます。
最初は何を運んでいるのかわからなかったのですがあまりにも報酬がいいのでそっと見てみると麻薬だったのです。
得たお金でまずは自分の農場を買い戻します。そして孫の結婚式の費用、退役兵士の交流会館の復活など次々にお金をつぎこんでいきます。
老人であったことやフラフラと寄り道をしたりするので警察の目からは盲点でした。
しかし見つかることは時間の問題。
そんな中、運搬中に妻が危篤であることの電話が入ります。
内容に触れますがよろしければ続きをどうぞ・・・
「ビリーブ 未来への大逆転」 [映画]
今年9月に亡くなったアメリカのリベラル派の女性法律家ルース・ベンダー・ギンズバーグをモデルにした映画。
最高裁判所判事を27年間務めたそうです。
超難関のハーバード法科大学院に入学したのですがそのときすでに結婚をしていて一児の母だったことに驚きました。
この頃ようやく女性の入学が認められたものの女性はわずか。
夫は理解のある同じく法科の学生。
ところが夫ががんを患い、彼の分も講義に出て彼の勉強の手助けをします。
24時間をどんな風に使ったのか?いったいいつ寝たんでしょう?という感じでまさしくスーパーウーマン!
ある意味常軌を逸してますが実話なんですよね。
年月が経過し、夫の就職先がニューヨークとなり離れ離れになってしまうのでコロンビア大学院への移籍を申し出ます。
もちろん慰留を勧められるだけでなく馬鹿にされるのですが意に介しません。
移籍した大学院で主席で卒業したものの就活をしても全然相手にされず不本意ながら大学の教授となります。
彼女は弁護士になりたかったのになかなか採用されなかったのですが大学で男女平等の講義に力を入れます。
夫からとある男性への介護控除の逆差別の案件を提示され控訴するよう男性に働きかけ弁護を引き受けます。
状勢からみて負けることが確実だったのに逆転で勝訴を勝ち取ります。
私なりにあらすじをかいつまんで書きましたがとても内容を表現できなくて残念です。
機会があれば是非観ていただきたい映画です。
スティーヴン・スピルバーグ監督の映画 [映画]
ワシンポスト社が機密文書を手に入れてそれを記事にするかどうかの判断が社主にゆだねられます。
社主は前々社主の娘、父の後を夫が継いだのだけれど自殺してその後を継いでいます。
自ら社主になりたかったのではないせいか、人望も得られてなく今回の判断が注目されるところなのです。
女性ゆえ世間からの評価も低かったんだろうと思いました。
ただ記事にするには社運がかかっていたりして難しい部分もあり判断に迷うところなのです。
しかし、そこをあえて載せたことでアメリカの世論は高まっていくのでした。
政治的な問題を描いた社会派映画です。
監督はスティーヴン・スピルバーグでした。
女性の社主を演じているのがメリル・ストリープは好きな女優さんです。
「クレイマー クレイマー」も数年前に観たのだけれど若い頃のメリル・ストリープが出演していて嬉しくなりました。
有名な映画ではあるけれど観ていなかったのです。
たまたまスピルバーグ監督の映画が続きました。
1983年日本での公開で37年前だったとは・・・!
自転車で空を飛ぶシーンは有名だけれどどういう状況でそうなったのかを知りたかったのです。
おしゃまな妹の一言がダメ押しの一言だったりしてそれがまたお茶目でかわいらしい。
突っ込みどころがたくさんあったけれど楽しめました。
「ドリーム」 [映画]
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1960年代初頭のNASAでの実話だそうです。
当時まだコンピュータは開発されておらず宇宙へ飛び立ち戻ってくるのに必要な計算は人間によってなされていたそうです。
そのNASAには計算室がありそこには白人とは別棟で黒人系の女性がたくさん雇われていたそうです。
そこで頭角を現したキャサリンは中枢の白人男性ばかりの計算室に抜擢されます。
彼女は難解な計算をもののみごとに成し遂げるのですが、彼女の離席が多いことを上司にとがめられます。
それはトイレに行くには800mも離れた場所まで行かなくてはならなかったからなのです。
書類を持っていそいそと行く彼女を面白おかしく描いていますが当人にとっては深刻な問題です。
それを知った上司は区別していたトイレの看板をぶち壊してくれたのです。
ここも映画らし脚色して描いてあります。
黒人と白人が別棟で働いていてトイレも別だったとは・・・。他にも別々にされていたものがいろいろあったようです。
このころにコンピュータが導入されようとし始めます。
それを知った彼女の同僚はいちはやくコンピュータの言語を学び始めほかの同僚にも勉強を勧めていきます。
当時のソ連に負けまいと有人宇宙飛行を計画します。
そのときの搭乗予定の飛行士に「彼女が計算したのなら大丈夫!」という言葉を言わしめていて痛快でした。
実力が認められるまでも細かい差別も描かれています。
それでもほんとはもっともっと苦労があっただろうと思いますが当時の一側面を知ることができました。卑屈にならず自分ができることに邁進する姿が描かれていていい映画でした。題名もいいです。
「つつんで、ひらいて」 追記あり [映画]
装丁家 菊地信義のドキュメンタリー
友人が観にいくと聞いて一緒に観にいきました。
いつの頃か忘れたけれど若かりし頃、栃折久美子さんという装丁家の存在を知り、「装丁家」という仕事があることを知りました。
それ以来憧れの仕事です。
絶対になれないとはわかっていましたが。
菊地さんは栃折さんに次いで知った装丁家のように記憶しています。
簡潔な装丁ではあるけれどなにかしらインパクトのある装丁のイメージを持っていました。
最近のお仕事は知らなくてもう引退されているのかと思ってましたが全然そんなことはなかったようです。
映画を観ていても硬い本が多い!
私が手にとらないような本ばかりでした。
映画の中でも「引退」の話をされていて徐々にフェイドアウトできればいいな、とおっしゃってました。
最初の場面。
印刷された文字の紙をくしゃくしゃにしてそれをコピーして文字がかすれているのを確認しておられました。
そういう手法もあるのだなぁ。
帯までが作品なんですね。
確かに書店ではその本の顔として認識します。
印刷工場での印刷過程もサラッと流されて私は興味深かったです。
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追記
以前読んだ本で出版社の話を描いた小説がありました。 そのときのブログはこちらです。☆☆☆
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そして最近読んだ本で紙の商社の話を描いた小説があります。 感想文は書いていませんがこれもまた興味深かったです。
芸術家が登場する映画 2作品 [映画]
題名には「セザンヌ」が入ってますが中心人物はエミール・ゾラ。
幼少の頃に友達でその後、ゾラは売れて第一線で活躍中。
しかしセザンヌは親からの支援もなくなり売れない画家。
最後はそんな2人の友情に溝ができてしまったという物語。
セザンヌも売れたのは晩年だそうで若い頃は不遇の画家だったのかと知りました。
あえて邦題にジャコメッティが入っていてわかりやすいです。
ジャコメッティの個展に訪れた美術評論家ロードに「モデルにならないか?」と誘います。
「2,3時間で終わるから」と言われて受けたのですが2日過ぎても1週間過ぎても出来上がらず困ってしまいます。
描きあがるのだけれど「いや、違う。」と白い絵の具で塗りつぶしてしまうのです。
ジャコメッティの弟にも相談するけれどどうしようもなくそのままズルズルとモデルを続けます。
18日目、ジャコメッティが筆を持ち替えようとしたときにモデルのロードが立ち上がり「いい出来栄えだ!」と褒めて弟にも共感を求めます。
それでようやく出来上がったという次第です。
これがジャコメッティが描いた最後の肖像画ということです。
矢内原伊作がモデルを2年務めたということを先の展覧会で知りましたが18日ならましなほうですね。まぁ、無理やり終了させたのですが。
その矢内原がちらっと登場してました。ジャコメッティの妻と服は着ていたもののベッドの上でなにやら親しげに話をしているという場面。
「え?そういう関係だったんだ・・・。」
後で調べてみるとジャコメッティ公認の関係だったみたいです。
多分展覧会でもちゃんと資料を見ていたらこのあたりのことも知ることができたのでしょうがサラッとみただけだったので知りませんでした。
なんだかなぁ、という気もしますが芸術家の人間関係も不思議なことが多く下々の人間には理解できないのかもしれません。
「世界一キライなあなたへ」 [映画]
失業したルイーザが再就職したのは事故に遭遇して首から下が麻痺となったウィルの介護職でした。
その程度の予備知識で観始めました。
心を閉ざしていたウィルの心を開いていきハッピーエンドで終わるのかな?と漠然と思っていたのですがそれほど甘い映画ではありませんでした。
彼は安楽死を執行する会社と契約していてあと6ヶ月の猶予があるだけでした。
彼女はそれをたまたま知りこの仕事を辞めようと妹に相談しますが資産家の息子なら死ぬまでの時間をお金を使って有意義に過ごすお手伝いをすれば?と勧めます。
それからはそのためにいろいろとでかける予定を入れていきます。
ひょっとしたら考えを覆してくれるかも?という淡い期待を抱いて・・・。
ウィルは彼女が一生懸命、彼を喜ばせようとしている姿を見て彼女の思いに応えようとします。
父親は彼の意見を尊重していますが母は断固反対。
主治医は「以前の彼が縦横無尽に飛び回る姿を夢でみて、夜中に目覚めて現実を目の当たりにして大声を発する・・・」そんな彼も見ているから彼の意思を尊重するとルイーザに話します。
結末がどうなるか知らずに観始めたのでどうなるんだろう?とハラハラしながら観ました。
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以前に同じように下半身麻痺でこの人の介護についた人の実話をもとにした映画も観ました。(障害の違いはありますが。)
介護する人は前向きで少し強引だったり失敗をしでかすくらいのお茶目な人がむいているかもしれない、と思いました。