「マイホーム山谷」 末並俊司 [本]
Amazon紹介文より--------------------
日本有数のドヤ街として知られる東京・山谷。
この地で2002年に民間ホスピス「きぼうのいえ」を創設した山本雅基氏と妻・美恵さんは、映画『おとうと』(山田洋次監督)のモデルとなり、NHK『プロフェッショナル』で特集されるなど「理想のケア」の体現者として注目を集めた。
ところが、現在の「きぼうのいえ」に山本夫妻の姿はない。
山本氏は施設長を解任され、山谷で介護を受け、生活保護を受給しながら暮らす。美恵さんは『プロフェッショナル』放送翌日に姿を消し、行方が分からないという。
山本氏は、なぜ介護を担う立場から受ける立場になったのか。
なぜ美恵さんは出て行ってしまったのか。
山本氏の半生を追う中で、山谷という街の変容と、特殊なケアシステムの本質を見つめた、第28回小学館ノンフィクション大賞受賞作。
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序章 山谷と介護と山本さん
第1章 よそ者たちの集まる街
第2章 「きぼうのいえ」ができるまで
第3章 壊した壁と壊れた心
第4章 「山谷システム」は理想か幻想か
第5章 山谷のマザー・テレサの告白
終章 マイホーム山谷
この本も書評をみて知りました。
2010年頃に話題になっていたようですが当時のことは知りませんでした。
創設者が施設長を退任(解任に近い)したあと、施設自体はそのまま存続していることにもちょっと意外な感じがありました。 創設者が居なくなったあと施設もつぶれてしまうことが多いのではないかと思ったのです。
山谷だから、民間だからできる山谷版地域包括システム、その人その人にあわせて形を変えていける柔軟さがポイントのようです。
加えて高い志を持った人たちが集まっていることも確かです。
著者は「きぼうのいえ」でボランティア活動をした上で取材を行い、インタビューも行っています。そして山本氏とは知人以上のおつきあいであるにも関わらず淡々と記されています。
ますます混沌としていく世の中。
ギスギスしている世の中ですが共助、互助、の精神でもう少しゆったりした世の中になってほしいな、と思いました。
長い人類の歴史を振り返っても、いつもいつも平坦ではないですね。。
さまざまな模様があるのかと。
by mirro (2022-09-04 00:46)
山谷は何度か歩いたことがありやすが、やはり路上生活者が何人もおられやした。
元施設長とパートナーのその後の詳細事情、気になりやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2022-09-04 15:02)
mirro さん
誰の人生も山あり谷ありですよね。
でもこの山本氏は精神的な持病もあり感情の起伏も激しかったようでそれゆえ身を滅ぼしてしまった感もあります。
命、長らえていることに安堵感があります。
by つぐみ (2022-09-04 20:49)
ぼんぼちぼちぼちさん
東京のことなのでよくは知らなかったのですが大阪にも釜が崎という似たような地域があります。
mirroさんのコメントにも書いたように精神的持病やストレスなどでアル中となり施設長を解任されたようです。
パートナーは山本氏の中の矛盾(アル中は隠されていたので)に対してついていけなくなったというか自分がいないほうが立ち直ってくれると期待したみたいです。
結局、どうにもならなかったのですが。
自分が関わったシステムにより生活できていることに救いを感じました。
by つぐみ (2022-09-04 20:58)