「輪舞曲ロンド」 朝井まかて [本]
大正時代に活躍した女優「伊澤蘭奢(いざわらんじゃ」の伝記的小説です。
以前、新聞で津和野だったかの特集でこの女優のことが少しだけ載ってました。
そのときは初めて聞く名前で婚家に子どもを置いて飛び出し、女優になったようなことが書かれていて「へぇ~」と思ったのでした。
どうしてあんまり有名でないの?と思い気になる人物でした。夏樹静子「女優 X」は彼女のことを書いた小説だと知り、早速図書館で借りてきたのですが20年近く前の出版の単行本で活字が小さかったり重苦しい雰囲気もあり早々に挫折しました。
ただ結婚して夫の事業の関係で東京で一時暮らしていたことを知り、少し納得しました。 今でも東京の文化は他の地域と比べて違いますから大正時代ならなおのことだったかもしれません。
この本「輪舞曲」を読むと子どもを置いて飛び出したというよりは旧家に嫁いでようやく生まれた男子、彼女には子育てをさせてもらえなかったようです。家を飛び出したのはそんなこともあったのでしょう。
でもやっぱり家を飛び出すだけあって個性的な女性として描かれてました。
その描き方は愛人3人と息子からの視点なので少し霧がかかった感じでした。 しかもあえてなのか古式豊かな?表現というか小難しい表現が多くて読みにくかったです。
また演劇関係のことも細かく描かれていてあんまり興味がないのもあり思ったより読むのに時間がかかりました。
朝井まかてさんの最初の頃の小説は好きだったんですが最近なんか技に走りすぎてるように私には感じられて遠のいてます。
それにしてもこの本に登場するライバル「花柳はるみ」も知りませんでした。 松井須磨子だけが突出して有名なのはそれなりに理由があるのでしょうか。演劇に詳しくない私が知らなかっただけなのかもしれませんがそのあたりのことは不思議でした。