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読書記録 2019.12 [本]

 


今年になって若くして両親が亡くなるという設定の本を4冊読んでいたことに気がつきました。出版年もバラバラで無作為に選んでいるのになんだか面白い偶然だな、と思ったので記します。



菓子屋横丁月光荘 歌う家 (ハルキ文庫 ほ 5-1)

菓子屋横丁月光荘 歌う家 (ハルキ文庫 ほ 5-1)

  • 作者: ほしおさなえ
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2018/08/09
  • メディア: 文庫


「活版印刷三日月堂」がとても印象に残ったので同じ作家の本を読んでみることにしたのです。
前作のイメージが強すぎたのもあったのかちょっとなじめないまま読み終わりました。
童話っぽくて人間関係もちょっと浅いかな?
そして両親が亡くなったことの影の部分をあえて描いていないんだろうけれどそのあたり違和感もありました。





線は、僕を描く

線は、僕を描く

  • 作者: 砥上 裕將
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/06/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

両親が亡くなりちょっと虚無感も抱えていたところへ展示準備のアルバイトをしていたらその展覧会が水墨画の展覧会であることを知りそこで水墨画と対面します。
思いつくままそこにいた老人に感想を述べていたらその老人から水墨画を習うよう勧められます。
その老人こそ、この展覧会の作家で水墨画の巨匠だったのです。
思いがけず水墨画の世界に入りそこでの物語です。
最初こそ、虚無感の主人公が描かれていますが話は水墨画中心です。
これはこれで先が気になりどんどん読み進みました。
この著者は水墨画家でもあるので小説とはいえ、水墨画の技法などは事実に基づいているのだろうな、と思います。
ただ想像力がないため小説内での水墨画がイメージできなかったのが残念です。 そう思っていたらコミックでも出版されていることを知り驚いてます。 読んでみたいです。





虹にすわる

虹にすわる

  • 作者: 瀧羽 麻子
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2019/08/08
  • メディア: 単行本


両親が亡くなったのは主人公が1歳のとき。
その後祖父母に育てられたので両親の記憶もないかわりに両親の喪失感も余り感じず育った感じです。
大学は東京で卒業後も東京で過ごしていたけれど祖母が亡くなったことをきっかけに故郷に戻り祖父と暮らし始めます。
祖父が若い頃は仏壇の製作をしていたけれど需要もなくなり今は便利屋を営んでいて主人公もそれを手伝っています。
そんなところへ大学の後輩が「椅子工房をしよう!」と転がり込んできます。
正反対と思われる2人の奮闘振りが面白いです。
                    





ひと

ひと

  • 作者: 小野寺 史宜
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2018/04/11
  • メディア: 単行本

高校生の時に父親が猫をよけたために電柱にぶつかり亡くなり、その後大学生となり親元を離れて東京で下宿生活をしていたら突然の母親の訃報が届きます。
けっして裕福ではないので大学を退学することにしました。
そんな悲嘆にくれて所持金もほとんどないまま商店街を歩いていてふと惣菜屋さんの前で足が止まりコロッケを買おうとしたら同時に買おうといていたおばあさんに先を越されてしまい、コロッケは売り切れてしまいます。
コロッケ以外を買うお金もなく困っていると店の主人から助け舟をだしてもらいミンチカツを分けてもらうことができました。
そこでみたアルバイト募集の貼り紙に思わず「雇ってください!」と申し出ます。
惣菜屋さんでの人間関係、亡くなった母の葬儀の手伝いをしてくれた母の従兄からのお金の無心、など。
そして父が日本橋で働いていたという記憶をもとに実際探し当てて訪れる話にはジンときました。
友人の親からの親切、そしてなにより惣菜屋さんの主人の「頼ったらいいんだよ。」という言葉。
この小説の中で主人公の「譲る」という行為に触れています。
そうだなぁ、やっぱり謙虚さが必要なんだなぁと思いました。
この小説が一番両親を亡くしての悲しみ、哀しみがよく描かれていたと思います。




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mirro

ここでは、親の死ですが、誰かの死によって人生が変わることもあるのですね。ただただ引きずっているばかりではない時間が流れることもあるのですね。
確かに、以前亡くした人が、新しい出逢いに繋がったことがあります。

つぐみさん、
つぐみさんが読まれた本が、友を亡くした私の記事と同時期で、このつぐみさんの記事から知らしめられることがありました。
何と言う偶然、同時期に、死について語っているこの不思議‼️
やはりこの世はミラクルですよね ☆彡
どんな哀悼の言葉も要りません。
つぐみさんとは深いどこかで、やっぱり繋がっているのかなと思えてなりません((((oノ´3`)ノ。有難うございました。

私のブログでつぐみさんへの返信に伊集院静氏のことを書きましたが、ただただ時間が解決するといったことではなく、こういった時間のあり様を述べてくれていたらと思ったりしました。
by mirro (2019-12-12 23:16) 

つぐみ

この記事は少し前に書いてました。12月に入ってお出かけも少なくなるし、年の終わりということもあり12月に入ったら載せようと思ってました。
以前、記事を一旦削除されたのに再度載せられた時期と重なったのはほんとに奇遇ですね。こんな短い文章で何か気づきがあれば幸いです。
伊集院氏のインタビュー番組、番宣をみて録画しようか迷ってしませんでした。一冊も読んでないのですがやっぱり「夏目雅子」さんの夫としてみてしまいます。そんなこともあって気になっていたのですがそういう一般的な感想だったのですね。このことをコメント欄に書こうと思ってたところでした。
不思議な繋がりですね。

by つぐみ (2019-12-13 23:02) 

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